タイル貼りの外壁の場合、修繕はどのように行えばよいか?
外壁がタイル貼りの場合、補修はどうするのか?
建物の外壁がモルタル仕上げだったり、デザイン性の強くないサイディングやALCボードになっている建物は「そろそろ塗替えの時期かな?」と外壁塗装会社に相談をしますよね。しかし、タイル貼りの建物の場合は、「タイルは塗装出来るの?」「街の塗装屋ではなく大きな修繕業者に頼まなければいけないの?」と迷ってしまいなかなか行動出来ない傾向があります。今回はそんなタイル貼りの建物の修繕方法を説明していこうと思います。
タイル貼りの建物の修繕方法
タイル貼りの建物はRC構造の建物に多いですが、鉄骨造の戸建てなどにALCボードと併用で施工されていることも少なくありません。簡単に言えばこのような外観のものです。
タイルのサイズは様々ですが、45二丁タイルと呼ばれる45mm×95㎜サイズのものが一般的です。補修の方法はタイルの劣化状況に応じて大きく3パターンに分けられます。
①タイルの目地モルタルの損傷が少なくタイルに浮きや割れがない場合
状態が一番良い段階で下地の補修を必要としない場合です。堅実なお客様で問題が目に見えて起こる前に建物を見て欲しいという場合などに多いです。この段階で補修をしているのが費用も最低限に抑えられて、建物自体への蓄積ダメージも少ないためオススメです。10年毎にこのような補修を行うことで、問題が発生する前に状態を更新することが出来るので建物の寿命を伸ばすことに繋がります。
修繕方法:酸洗による建物の美観保持を行い、透明なタイル保護塗料を塗布します。この段階ではタイル自体の防水というよりもタイル目地の防水が主な目的となるため、日本ペイントの「グラシィガード」というモルタルの吸水防止剤の塗布がベストだと思います。
②タイルに浮きが発生している場合
タイルに浮きが発生している場合はボンド・ピンニング工法という方法で建物(躯体)と仕上げモルタル(タイルを貼付けているモルタル)を接着して、保護塗装を行います。
ピンニングは基本的に外壁に穴をあけ、その穴からピンを挿入してエポキシ樹脂系注入剤を使って固定を行う工法です。タイルの浮きが軽微な場合は通常のピンニング、浮きが大きい場合にはアンカーピンニングという固定性能の高いピンを使った工法で修繕を行います。
この場合の仕上げ塗装材は、「グラシィガード」ではなく、タイルのコーティングまで行うことが出来る日本ペイントの「ファイングラシィSi」もしくは防水保護剤である株式会社セブンケミカルの「セブンS」の使用をオススメします。
注入用の下穴をあける
ピンとエポキシ樹脂系注入剤で固定
➂タイルに割れなどの損傷が多い場合
タイルの脱落・欠損やひび割れが発生している場合にはタイルの貼替えが必要となります。少数であれば既製品の類似タイルを探し貼替えを行うことが出来ますが、既存のタイルと全く同じものを見つけることは難しく、もし仮に見つかったとしても経年劣化による色の違いが出てしまうため見栄えは少し悪くなってしまいます。タイルの貼替えを行った場合でも合わせてピンニングによる補強及び保護塗装が必要となるため、膨大な費用がかかってしまします。
劣化が進行する前に修繕をしましょう
3パターンの修繕方法を見てきましたが、➀と➁を比較すると費用は1.5倍ほど、➂になれば2倍以上の費用がかかることが考えられます。建物の保護をこまめに行っていれば内装のリフォームに資金を当てられたのにという後悔の言葉を耳にすることも多いです。
そこで、皆様にぜひ試していただきたいのが建物を定期的に見て回ることです。また、可能であれば打診棒をご用意いただき、見回りの際に壁に沿わせて動かしてみる習慣をつけてみることをお勧めします。打診棒はホームセンターでも購入することが出来ます。建物を見回る際のひと工夫で建物の劣化の見落としを防ぎ、修繕にかかる費用をぐっと抑えることが出来るので、ぜひ参考にしてみてください。
打診棒
擦るようにしてカラカラと高い音がしたらタイルが浮いている可能性あり